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相対的内部と内部のイメージ

相対的内部は初回だとどんな集合なのかイメージしにくいと思う.
なので, どんな集合をイメージしているのかを簡単に記しておく.

アフィン包

相対的内部ではその定義にアフィン包を利用する.
最初の頃, これが自分にはどんな集合かがイメージしにくかった.

定義だけ述べれば簡単で,集合 S \subseteq \mathbb{R}^nアフィン包 \mathrm{aff}(S)とは Sを含むような最小のアフィン集合のことを指す.
アフィン集合とは線形空間を平行移動や回転させたような集合のことをいう.
イメージにすれば

のような感じだ.

このように集合を包む最小のアフィン集合をアフィン包といっているが, より具体的には

  •  \mathbb{R}^3内の球を含む最小のアフィン集合は \mathbb{R}^3
  •  \mathbb{R}^3内の y = 1という平面を含む最小のアフィン集合は平面 y = 1自身
  •  \mathbb{R}^2内の (x, y) = (1, 1)を含む最小のアフィン集合は (x, y) = (1, 1)を通る直線

 Sのアフィン包 \mathrm{aff}(S)は図のような Sを内包する平面. 平面は縦横に無限に広がっていることに注意
といったようなものが上げられる.

内部

相対的内部の理解を深めるために, まず, 内部について簡単に書いておこう.
 \mathbb{R}^nでは内部を利用するのに開球という集合を用いる.

 x \in \mathbb{R}^nにおける開球とは


  \begin{align}
    B(x, \epsilon) = \{x' : \|x' - x\| < \epsilon\}
  \end{align}
という集合のことをいう.
つまり, ある距離 \epsilon > 0内にある点を集めたもののことをいう.

これを使って内点を定義する.
つまり, 部分集合 S \subseteq \mathbb{R}^n内点とは,


  \exists \epsilon > 0; B(x, \epsilon) \subseteq S
となる x \in Sと定義する.
つまり, 開球を取れる点のことを内点というのである.

より一般には集合 Xの部分集合 S \subseteq Xの内点とは


  \begin{align}
    x \in U_x \subseteq S
  \end{align}
となる開集合 U_xが存在する Sの点 x \in Sのことをいう.

これら内点を集めた集合を S内部 \mathrm{int}(S)という.

これは以外にも厳しい制約で例えば図のような集合の内側の点の集合を集めようとすると,

球が常に Sからはみでている
のようにどんな小さな \epsilon > 0をとっても開球が集合の外側にはみ出してしまうため, 集合の内部を考えることができない.

相対的内部

しかし, 先程の図のような集合にも内部のようなものを考えたい.
そこで登場するのが相対的内部である.

相対的内部を定義するにはアフィン包を用いる.
つまり, 部分集合 S \subseteq \mathbb{R}^nの相対的内点とは


  \begin{align}
    \mathrm{aff}(S) \cap B(x, \epsilon) \subseteq S
  \end{align}
となるような開球が存在することをいい, 相対的内点を集めたものを相対的内部 \mathrm{ri}(S)という.

このままだとどんな集合か分かり辛いと思うので, イメージを載せる.

 Sのヘリ(点線部分)以外が相対的内部となる
このようにすれば上手く内部のようなものが取れていることがわかると思う.

なぜこのようなわかりにくい定義を利用するのかというと, 先程も言ったように例えば \mathbb{R}^3内で平たい集合の内部を考えるときに開球をとろうとするとはみ出してしまうような場合を避けるためである.
アフィン包との共通部分だけを考えれば, 次元を落とし, その落とした次元における開球との交わりだけで考えられるということが発想だろう.
つまり,  \mathbb{R}^3内の平面や直線の内部のような集合は3次元の開球で扱えないので, より次元を落とした \mathbb{R}^2 \mathbb{R}^1の開球だけで議論したいということである.