バージョン管理された人

subversionで管理されてます

ルベーグ外測度のイメージ

外測度, 特にルベーグ外測度についてのイメージを記しておく.

準備

ルベーグ外測度自体の定義の述べる前にいくつか準備をしておく.

まず, 区間 とは n次元ユークリッド空間 \mathbb{R}^nの部分集合 I = \prod_{i = 1}^{n} [a_i, b_i]のことをいう.
ただし,  \prod_{i = 1}^n S_i = S_1 \times S_2 \times \cdots \times S_n を指す.
これはどういうことかというと,


    \begin{align}
      \prod_{i = 1}^1 [a_i, b_i] = [a_1, b_1] = \{x : a \leq x \leq b\}
    \end{align}

  •  n = 2のとき, 空間上の x軸と y軸に平行な四角の形をした閉領域


    \begin{align}
      \prod_{i = 1}^2 [a_i, b_i] &= [a_1, b_1] \times [a_2, b_2] \\
        &= \{(x, y): a_1 \leq x \leq b_1, a_2 \leq y \leq b_2\} \\
    \end{align}

  •  n = 3のとき, 空間上の x軸と y軸,  z軸に平行な直方体の形をした閉領域


    \begin{align}
      \prod_{i = 1}^3 [a_i, b_i] &= [a_1, b_1] \times [a_2, b_2] \times [a_3, b_3] \\
        &= \{(x, y, z): a_1 \leq x \leq b_1, a_2 \leq y \leq b_2, a_3 \leq z \leq b_3\}
    \end{align}

を指している.
より高次元では直方体のような形をしたものを区間と称している.

この区間の体積を


  \begin{align}
    \left|\prod_{i = 1}^n[a_i, b_i]\right| = (b_1 - a_1) \times (b_2 - a_2) \times \cdots \times (b_n - a_n)
  \end{align}

と定義する.
これは3次元や2次元の場合を考えてもらえれば直感的だろう.
なので, この定義は直方体や四角形の面積を計算する計算式を3次元よりも高次元な場合へ拡張しているものであることがわかることと思う.

外測度

集合 X上の外測度とは次の公理を満たす集合関数 m: 2^X \to \mathbb{R} \cup \{+\infty, -\infty\}のことをいう.

1. 空集合 \emptysetに対し,


    \begin{align}
      m(\emptyset) = 0
    \end{align}
2.  Xの部分集合 A,  Bに対し,

    \begin{align}
      A \subseteq B \implies m(A) \leq m(B)
    \end{align}
3.  Xの部分集合列 \{E_1, E_2, \cdots\}に対し,

    \begin{align}
      m\left(\bigcup_{i = 1}^\infty E_i\right) \leq \sum_{i = 1}^\infty m(E_i)
    \end{align}

ルベーグ測度

このままでは抽象的すぎるので, ルベーグ外測度 m^*: 2^{\mathbb{R}^n} \to \mathbb{R} \cup \{+\infty, -\infty\} \mathbb{R}^nに対し, 公理を満たすように体積 |\cdot|: 2^{\mathbb{R}^n} \to \mathbb{R} \cup \{+\infty, -\infty\}を用いて定義される.

具体的には部分集合 A \subseteq \mathbb{R}^nを被覆するように選んだ任意の区間 I = \{I_1, I_2, \cdots\}, すなわち,


  \begin{align}
    A \subseteq \bigcup_{i = 1}^\infty I_i
  \end{align}
を満たす Iの体積の和の下限がルベーグ外測度となっている.


  \begin{align}
    m^*(A) = \inf\left\{\sum_{i = 1}^\infty |I_i|: A \subseteq \bigcup_{i = 1}^\infty I_i\right\}
  \end{align}

ルベーグ測度のイメージ

上の定義だけだと何だかよくわからないと思うので, イメージを記す.
なお, 簡単のため1次元の場合で書くが, より次元の高い場合も同じ.

そもそも図のように重なっているような場合は無駄が発生している.

重なっている部分がある場合
もちろん,  Aを被覆できる区間列ならなんでも良いので,その和がAより大きい, つまり図の Aではない部分を含んでいるようなものや \mathbb{R}^nそのものであっても構わないが,  \infが付いているのでその中でも最小のものを選択しなければならない.

なので, 無駄なく区間のヘリの部分のみが共通部分となるように区間を用意して(図では閉区間の始点と終点のみを共有するように)やるのが最も値が小さくなることがわかると思う.

重なる部分がないのが最小
このようにすれば問題なく測度を計算することができる.
ただ, 上のは無限個の閉区間を足していることに注意して欲しい.
これは図のように Aを被覆する有限個の閉区間と無限個の空集合が並んだ区間列をとればよい(空集合は閉かつ開)と考えるとわかりやすいと思う.
つまり, 空でない閉区間 I_1から I_mとして


  \begin{align}
    A &= \bigcup_{i = 1}^\infty I_i \\
      &= I_1 \cup I_2 \cup \cdots \cup I_m \cup \emptyset \cup \cdots \cup \emptyset \cup \cdots \\
      &= I_1 \cup I_2 \cup \cdots \cup I_m \\
      &= \bigcup_{i = 1}^m I_i
  \end{align}

となるような区間列をとっていると考えればよいとおもう.